熊の敷石

2020年に芥川賞を受賞した、堀江敏幸さんの「熊の敷石」を読む。

読む前には訳のわからない題名だった。

日本人の主人公(堀江さんの自伝?)がノルマンディー地方の小村に住む友人ヤンを訪ねる。その中でフランス語辞書編纂家のエミール・リトルの話。

リトルは「フランス語辞典」を刊行しようとする出版界の大物ルイ・アシェットから仕事を依頼されるがはかどらない。代わりに「フランス語語源辞典」を編纂する。

この調査の中で見つけた「熊の敷石」なる用語の語源をラ・フォンテーヌの「熊と園芸愛好家」の本の中で知る。園芸愛好家の老人の元に熊が来る。老人の頭に止まる蠅を追い払おうと、熊は傍にあった花崗岩でできた敷石を蠅をめがけて投げる。老人は頭を砕かれ死亡。とのことから「いらぬお節介」との意味。

同じ本の中に掲載されている短編「砂売りが通る」にも語源が。

「砂売りが通った」とは「眠くなること」の意味