「菜の花の沖」より知る雑学

この年になって初めて、司馬遼太郎の「菜の花の沖」を読み始めた。文庫本で全6冊だがまだ1巻目。内容は淡路島の漁村に生まれた青年(高田屋嘉兵衛)が海の商人として立身出世する話であるが、1巻の中に初めて知った面白い雑学を知ったので記す。
日和見日和山から天気を見る(予測する)こと。日和山は全国各地にあり、主に漁師が船を出す前に可否の天候判断を行った。
■村八部:地域の共同生活の10行為のうち、葬儀と火事の2行為以外は絶縁する。
南海道紀州、淡路、四国)のことばがきたない:上国のように武士階級など上層部の階層がない、南方的無階級意識が強かった。
■苗字:
各家の違いは、平安中期までは「氏」だけであった。
中期以降、姓が生まれ「源」「平」「藤原」「橘」の4姓が本流となる。
以降、分家が増え、所在地などから「一条」「近衛」「九条」などの分流が、
更に細分化され、役職や地域などから、例えば「藤原」では
      加賀介→加藤、伊勢の国→伊藤
■くだり物と「くだらない」:江戸時代江戸の人口は急激に増えたが関東にはいい商品が不足。
 くだり物:上方や瀬戸内の商品や貴重品を江戸へ輸送
 くだらない物:逆に江戸近辺の商品の品質が悪かった。
樽廻船:1730年に上方から江戸へ酒樽を運ぶための専用船と航路が生まれる。
 平安・鎌倉時代は容器は曲げ物(一例 柄杓)技術しかなかったが、長方形の木片をつなぎ合わせる「桶」技術が生まれた。さらにそれに蓋をする「樽」が生まれ、酒の大量輸送が可能になる。これは日本独自の文化・技術。
■日本酒:現在では関西の日本酒産地として「灘」が有名であるが、実は摂津(池田、伊丹近辺)で清酒が発明された。従来は「どぶろく」であったが、伊丹の鴻池新六どぶろくに灰汁を加えると酒が澄むことを発見。以後鴻池財閥を築いた。